読書感想文が書けない!
こんにちは。ドタバタ子育て珍道中、おうちラボのトイトイノです。8月もそろそろ10日過ぎ、いよいよ中盤になってきました。小・中学生のお子さんをお持ちの皆さんも、「まだうちの子、何もやっていないけど大丈夫かしら…」という方も多いかもしれません。
そんな、夏休み中のお子さんや親御さん達を悩ませるものの1つ、それが、
『読書感想文』ではないでしょうか。
なぜ、うちの子はこんなに作文が書けないのか。国語が不得意なのではないだろうか。そんな風に悩んだり。今の時代、SNSなど個人で発信することが当たり前になっていて、子どもの発信力、表現力を伸ばしたい。でも、実際はこんな感じ…(我が家はそうです!エッヘン!)
トイトイノ
イノタ~、夏休みの宿題どう?
お母さん、読書感想文、
どうやって書いたらいいか分かんないよ~~!!
イノタ
トイトイノ
学校の先生は、どんな風に書いたらいいよって教えてくれた?習ったことを思い出してごらん。
学校で、読書感想文の書き方なんて教えてもらってないよ~~~(泣)
イノタ
トイトイノ
ええ!?まさか!!
学校で読書感想文の書き方を習ったから宿題に出てるんじゃないの!?
「読書感想文の書き方」なんて、授業でやらなかったよ~!
イノタ
トイトイノ
そうなの~!?どうしよう、お母さんも読書感想文の書き方なんて分からないわ…
実は、学校ではほとんど「読書感想文の書き方」なんてじっくり教わらないもの。仮にあったとしても、1年に1回あるかないかなんです。(国語が得意な先生の場合は、教わることもあるようですが、そうでないことがほとんどです。)
小学校1年生の1学期なんて、ほぼひらがなの練習と音読で夏休みに突入しますから、何をどうやっていいか分からない小学生も多いはず。そんな状態で「読書感想文」なんてハードルの高いものを書かされるなんて、たまったもんじゃありません。
中学生も、同じ状況で毎年進級しますから、結局何を書いたらいいか、どう書いたらいいか分からずに手探りで書く、という子がほとんど。イヤイヤ書くから、書いたものを読み返すこともしないし、いっそ黒歴史になる…なんてこともザラ。それじゃあ、時間も労力もあまりにももったいないです。
大人の私たちだと、仕事で急に、「やったこともない誰も分からない仕事」を振られた上に、「じゃあ、1か月後にそれ他部署の前でプレゼンするからよろしく」と言われているようなもの。誰に頼ったらいいか、何から手をつけていいか分からず、困ってしまいますし、モチベーションも湧かないのではないでしょうか。(私ならテンションダダ下がりです…泣)
ですから、お家の方のスタンスとしては書けないからといって叱ったり子どもの学力が低いのではないかと心配したりするのではなく、「大変だけど取り組もうとしている」ことを、まず認めて声掛けをすることが大事です。(これは、あくまで考え方、あり方の話です。)
でも、じゃあ、どうしたら読書感想文が書けるのか。前置きはここまでにして、簡単に3つのコツをお伝えします。
①「感想」ではなく、自分の「変化」「理由」を書こう!
最近は、Youtubeなどでも読書感想文の書き方を伝えている動画もたくさんあります。正直なところ、「このやり方はかなり高度だな」「これでは、余計に悩んで書けないだろうな」と感じるものが多いです。動画を上げている方のほとんどが、「そもそも文章表現力が高い」ことが原因の可能性があります。発信者の基準が高いので、動画を見る方の表現力もある程度ないと理解するのが難しい。もちろん優れたよい動画もありましたが、ここでは割愛して、内容を説明していきます。
イノタ
読書「感想」文なのに、感想を書いちゃいけないってどういうこと?意味が分からないから、ちゃんと説明してよ!
実は、読書感想文で求められていることは「おもしろかった」「すごかった」「悲しかった」などの感想ではないのです。じゃあ、読書「感想」文じゃないじゃないか、と毎年いつも思うのですが、総括すると自分の「感想」になるから、便宜的にそう表現しているのだと確信しています。この「感想」というのが、とても抽象的なので子ども達を悩ませるのです。
読書感想文で問われていることは、これだけ。
その本を読んだ前と後で、あなたの考えはどんな風に変化しましたか?それはなぜですか?
毎年行われている青少年全国読書感想文コンクールのQ&Aにも、こんなことが書かれています。
読書感想文は何のために書くの?
書くことによって考えを深められるからです。読書感想文を書くことを通して思考の世界へ導かれ、著者が言いたかったことに思いをめぐらせたり、わからなかったことを解決したりできるのです。ですから読書感想文は「考える読書」ともいわれます。また、どんなに強く心を動かされても、時がたてばその記憶は薄れてしまいます。読書感想文は自分自身の記録です。読み返すことによって、いつでも「感動した自分」に出会うことができるのです。
トイトイノ
うんうん、言いたいこと分かる。言いたいこと…わ…分か……
分かるか~~~~!!!!(怒)こむずかしいんじゃ~~!!
このQ&Aを読んでみても、求められていることが相当高いことはまちがいないです。学校の先生によって、どのコンクールに出すかは異なるかと思うのですが、だいたいこの視点をベースに考えられていることはハッキリしています。
要するに、読書感想文を書いてもらう目的はこれ1つ。
みんな!この本読んで考え方や人生がこんなに変わった子がおるんやで!本ておもろいやろ!本読んでな!
イノタ
なんだ!じゃあ、本を読んで「おもしろいな」だけじゃなくて、「なんでおもしろかったのか」「前はこんなこと考えたことなかったよ~」とか、考えが変わった理由を書けばいいんだね!
そのとおり!イノタすごい!!天才!!!自分は本を読む前はどう考えていて、後はどう変わったのか、理由が具体的に書けるともっと伝わる文章になるね!
トイトイノ
イノタ
え~、学校の先生もよくその「ぐたいてきに」って言うけどさ、それって何をどんな風に書けばいいかがよく分からないんだよね…
そうだよね~。「具体的」はくわしくってことなんだけど、何をどうくわしく書けばいいか、今から説明するね!
トイトイノ
②あらすじはいらない!主人公と自分を比べた「共通点」「相違点」を書こう!
過去に数千人の子ども達の文章を読んで指導してきた経験から、はっきり言えることがあります。それは、「あらすじは書かなくていい」ということ。あらすじを短く書くには、実は高度な要約力が必要となります。(逆に難しいんです)だから、こんなことになりがち。
この物語の主人公は、桃太郎といいます。ある日、川でせんたくをしているおばあさんが、大きな桃が流れてきたのを見つけて拾いました。おばあさんは、桃を持って帰って切ることにしました。その桃をおばあさんが切ろうとすると、中から桃太郎が出てきて、おばあさんとおじいさんがびっくりしました。僕もびっくりしました。そして、大きくなった桃太郎は、鬼退治に行くことにしました。おばあさんは、桃太郎にきびだんごをわたしました。力が出てくるそうです。とってもおいしそうでした。桃太郎が旅をしていると、犬が出てきました。‥‥‥(250文字程度)
これが延々と最後まで続きます。書いている方も地獄ですが、読んでいる方も地獄です(笑)。どこで盛り上がるのかな?と待ちながらオチのないまま、迷ったあげく「桃太郎はすごいと思いました。ぼくも、桃太郎みたいになりたいです。」みたいな、ありきたりなまとめで終わってしまうのです。(それでも書き上げた勇気に、拍手です!)
でも正直、誰でも書ける、どこかで読んだような同じような内容なので、悲しいことにつまらないんです。これを読んで「おもしろそうだな、読んでみたいな」とはならない。だから、あらすじはいらない!主人公の名前と、ちょっとした背景(年齢、住んでいる所、置かれている状況など)が1・2行書かれていればそれで十分なんです。
イノタ
ねえ、おかあさん、あとさ~、「きょうつう点」とか「そうい点」ってどんなことを書けばいいの?
「共通点」は、自分と主人公に共通した「似ている所」や「同じ所」のこと。考え方とかやっていることとかが似ていたら、そこを書くといいよ。
トイトイノ
イノタ
そうなんだね、わかった!じゃあ、「そうい点」は?
おっいいね!「相違点」は、自分と主人公の考え方ややっている行動が「ちがう所」のことだよ。相違点と共通点は、どちらを書いてもいいのだけど、「何がどう違うのか」が分かるようにくわしく書くといいよ!
トイトイノ
桃太郎は、川から流れてきた大きな桃から生まれました。拾ってくれたおじいさんとおばあさんに育てられました。ぼくは、そこにものすごくおどろきました(気持ち)。ぼくには、お父さんとお母さんがいて、妹の〇〇もいます。でも、桃太郎にはいない。(自分との違い)桃太郎は自分を生んだお母さんに会いたいと思わなかったのかな。さびしくなかったのかな。物語では、桃太郎のそんな気持ちはちっとも書かれていません。ぼくなら毎日、お母さんに会いたくて泣くと思います。でも、桃太郎は泣きません。(自分との違い)赤ちゃんの時だったから、おばあさんがお母さん代わりだったのかな。‥‥‥(250文字程度)
あらすじはなくても、自分と置かれた状況や考えの違いを書いていくことで、自然と内容を説明していくことになります。先ほどの文章と、同じくらいの文字数ですが、この後書き手がどんなことを考えてどうまとめていくかが、さっきよりは少し知りたくなるのではないでしょうか。
自分とどこが違う(同じ)か、どんな風に違う(同じ)なのか。読み手に分かるように書く。
③まとめに、「自分がこれからどうしたいか」か、「読み手にどうしてほしいか」を書こう!
イノタ
お母さん…作文書いたけどさ…どうやって終わったらいいかが分からないよ~…
イノタすごい!!作文、進んでるね~~!!あとひと息!確かに、作文ってはじめと終わりがむずかしいと感じるよね。
トイトイノ
イノタ
もう、終わる気がしないから、途中で終わってもいいかな…?
そうだよね、大丈夫!これさえかければ、かっこよく終われてゴールできるから!!やってみよう!
トイトイノ
小学生や中学生が、いちばん困るのが文章の始め方と終わり方。今回は、読書感想文の気持ちのいい終わり方について、簡単にご説明します。(始め方については、また別の記事でご紹介します^^)
読書感想文で、これまでのポイントを抑えて書けてきたら、最後にこのような形でまとめていきます。
- 本を読んで、「自分の考えがどのように変わったか読書前後の変化」を書く。
- 主人公と自分の、「共通点や相違点」を詳しく書く。
- 「だから自分は、これからこうしていきたい」「だから自分は、これからも続けていきたい」「〇〇は大事だから、みんな(世の中や読み手が)こうなってほしい」
初めに、読書感想文は「感想」を書くのではなく「自分の変化」を書こうとお伝えしました。変化や違いを述べた後に、読み手は「で、君はこれからどうするんだい?」というのを、知りたいわけです。だから、理想のまとめとしては「自分はこれからこうしていきたい(こうしたくない)」などの方向性を書くこと。もしくは、どうしても思いつかなかったら、「今世の中はこんな感じだから、みんなこうなってほしい」ことなどを最後に述べると、かっこいいまとめになります。
桃太郎は最後に鬼をたおしました。なぜそんなすごいことができたのか、最後にぼくは考えました。鬼をたおしたいというより、おじいさんとおばあさんをただよろこばせたかったのだと。桃太郎にとってたいせつな家族。2人がこまっているすがたを見て、自分のできることをやってみようと決めた。桃太郎が、家族のために勇気を出して鬼に立ち向かったように、ぼくもむずかしいことからにげずにちょうせんしていきます。そしていつか、大事な人を守れるよう心も体も強くなりたいです。
だいたい小学3年生くらいを想定していますが、こんな風に自分はこれからどうしたいかが書けると、前半・真ん中とつながり、いい感じでゴールできます。
ぜひ、この夏休みに子ども達と一緒に、読書感想文いえ、「読書成長文」を書いて楽しんでみてはいがでしょうか。この文章が、皆さんにとって「自分だけのすてきな文章」が書けるお手伝いに少しでもなれれば、嬉しいです。