こんにちは。ドタバタ子育て珍道中!!家族学育クリエイター&おうちラボ主催のトイトイノです。今日もこのブログに来てくれてありがとうございます!
スーパーで見かけて心が痛んだ親子
いつもとは違うスーパーで買い物をしていた時のこと。入ってすぐの野菜コーナーの前で5歳くらいの男の子が大声を出しながら走り回っていました。
お母さんは、6か月くらいの赤ちゃんを抱っこしていて男の子に「走ってはいけない」と声をかけていますが、男の子はちっとも聞くそぶりがなく、お母さんは困った表情。
周りで買い物をしていた70代くらいのご夫婦が、その近くで野菜を選んでいたのですが、親子を見ながら嫌そうな顔をすると、こんなことを言いました。
あんなに走り回るなんて…親のしつけがなっていないんだ
ほんとに。私たちが親の時は、大きい声で叱ってたしなめたものですけどね
きびしく叱らないから、子どもが分からないんだ
離れた所にいる私にも、はっきり聞こえるくらい大きな声だったのでそのお母さんにも聞こえてしまい、(むしろ、聞こえよがしに言った)お母さんはサッと顔色を変えると、その子の所に行くと腕をグッと掴みました。
何回「走らないで!」って言ったら分かるの!
迷惑でしょ!
周りの人がギョッとするくらい大声で、お母さんも一生懸命男の子に伝えていました。でも、男の子は一瞬びっくりした顔をしましたが、またヘラッと笑うとお母さんの手を振りほどいて走ってしまい、お母さんはその子の腕をつかんでスーパーの外に出ていきました。
お母さんも男の子も、様子がとっても気になったので声をかけたかったのですが、私も子連れでこどもがぐずりかけていたことと、お母さんがサッと店を出てしまったこともあり、「今声をかけるとかえって逆効果かも…」と一瞬考えてしまったのです。
その日は悩みながらも声をかけることができませんでした。今でも、何かできることがあったかもと思い出すと胸が痛む、悔やまれるできごとです。
必要なのは、非難じゃなくてねぎらいと励まし
職場には、いつも新聞が置いてあり、出勤したらまず1面を読むようにする習慣があります。すると、こんな見出しがパッと目に飛びこみました。
保育園や幼稚園に通っていない幼児、「無園児」やその家族(母親)は孤立しがちなので国が対策を講じて手立てをするというもの。
「子どもと一緒にいる時間を増やしたいから」と、みずから選んで専業主婦を選ぶ方もいるけれど、おもに日本語があまりわからない外国籍の方や、若くして親になった方、経済的にきびしい方のお子さんが「無園児」になってしまうことが多いものだとか。
どこからも支援をもらえないと、親が追い詰められて虐待につながるケースが多い。そこで、国が背極的に関わり親子を支援していく。
という内容の記事でした。それを読んで、仕事柄よく子育てについて相談されることが多いので、スーパーで見かけた親子のことを思い出したのです。
あの時、私が感じたのはお母さんがひどく疲れているように見えたこと。いろんなお子さんと接する機会が多いので、ちょっと見かけた時に男の子を「ひょっとしたら、発達凸凹の子なのかな」と感じました。
もしそうだとしたら、あのお母さんはとても苦しいはず。発達凸凹の子はエネルギーがものすごく有り余っている子が多いので、1人を相手にするだけでもヘトヘトになってしまいます。
あの時、あのお母さんはとても苦しかったはずです。子どものことで悩んでいるのにスーパーで心無い言葉を耳にしてしまった。しかも、周りには私も含めたくさんの大人がいたのに、誰もお母さんに手を差し伸べなかった。
私も、「傍観者」になってしまったので、お母さんを励ましたりねぎらったりするサポーターの立場にはなれませんでした。
自分も含めて、お母さんやお子さんを少しでも助けられたら。少しでも楽になれる手助けができたら。そう考えるきっかけになったできごとでした。
リエゾン~こどものこころ診療所~をオススメする理由
(少しだけ、本編のネタバレがあります(1~2話))
理由①現役の医師が監修している
「リエゾン」は、フリーランスで児童精神科医をしている三木崇弘医師が監修しています。
リエゾンにはほんっとうにいろんなタイプのお子さんや親御さんが出てきます。仕事柄、たくさんのお子さんや親御さんに関わるのですが、どのタイプも「ああ、この相談よく受けるなぁ」「こんな時どうしたらいいか、わからなくなるよね」と子育てをしたらぶつかるであろう事例がたくさん取り上げられているのです。
このマンガには、2人の小児科医が出てきます。1人は、いつも失敗ばかりで大きな病院で叱られてばかりいる女医さん(遠野志保)。もう1人も、人前で平気で着替えちゃうちょっと不思議な感じの男医さん(佐山卓)。
この2人の子どもに対する関わり方が本当に温かくて、そして適切な対応や言葉の一つ一つも細部までこだわっていて、「こんな風に声かけされたら安心するだろうな」と感じるものばかり。
小児科、というだけでなく「児童精神科医」が監修されていて、実際に三木医師もたくさんの親子と関わってきたからこそわかる、リアルな事例がたくさん載っています。
小児科版「コウノドリ」みたいな感じです。とても読みやすいのに、専門的。それが1つめのおすすめポイントです。
理由②個性的な医師も発達凸凹を抱える当事者である
実は、この2人も発達凸凹という衝撃的なエピソードが1話目からスタートします。この遠野医師の生い立ちも涙無くしては読めないし、私にとっては身につまされることも多いのです。
性格の問題じゃなくて、発達凸凹から来るもの。
これを、他でもないだれか別の人に言ってもらえたらどのくらいの人が救われるだろう。佐山医師のセリフなのですが、そう思えてならない貴重な一言です。
話の内容によっては、私自身トラウマを抱えて育っているので、ときどき、
この話は、今日はこれ以上読めない・・・(泣)
となることもありますが、遠野医師と佐山医師が来院するお子さんや親御さんに、本当に温かく関わってくれて、しかも対策もこんな風にするといいよ、という所まで描かれています。当事者だからこそ伝えられる視点というのは、本当に貴重だと思います。
理由③子どもと「かつて子どもだった人=大人」に読んでほしい
発達凸凹だけでなく、ネグレクト、学校に行けない子、などなど、現代の教育社会で起こるたくさんの事例が取り上げられています。
子どもに関わる、いや子どもに関わらなくてもすべての人に読んでほしい!!と感じる作品です。
子どものことだけでなく、大人になってからも「生きづらい」と悩む人々も登場します。これって、自分では普通だと思っていたけれど他の人には違うんだ、など気づきも多い話もあります。
子ども時代の傷つき体験は、トラウマになっていたらまだ癒えていない生傷のようなもの。大人なのに何年も前のことに悩んでとらわれて情けない、なんて自分を責めがちな人にこそ読んでほしいです。
あなたのその傷つきは、当然のものだ。生傷なのだから、何年たっても痛むのだ。適切にケアをすることで(グリーフケアといいます)、癒されて救われて前に進めるんです。
その部分を、描写ひとつ、言葉ひとつで丁寧に描いている作品なので、今現在生きるのが苦しいな、何だか生きづらいな、と感じている、かつて子どもだった大人の方にも読んでほしいなと思います。
私も「リエゾン」になりたい
で使われているそうです。
フランス語で「連携」を意味する言葉です。特に、身体に関する病気を担当する主治医や看護師のチームに、精神科のチームが「連携」するような形を「リエゾン精神医療(liaison psychiatry)」と言います。(引用元:KAIGO LABより)
これを知った時、私は胸が熱くなるのを感じました。
ああ、私も親子のリエゾンになりたい。親子を支える一人として、いろいろなところと連携し、橋渡しをし、困っている子どもや親御さんが少しでも楽になって、安心して笑顔になれるような関わりを持ちたいって。
私が今の仕事を続けている理由も、これから先やりたい居場所つくりも、講座も、すべてがこの言葉に集約されているなと感じました。
このブログを読んだ方が、少しでも「読んでみたい」と思って、リエゾンを読んでくれたら本当にうれしいし、リエゾンを読むことで少しでも救われることができたら。それは本当にうれしいことだし、それこそ私が「リエゾン」に少しでもなれたのかなと思います。
ここまでよんでいただき、ありがとうございました。